先日、会社より貸与されているスマホの機種変更をしました。
保存データはクラウド上にバックアップされているため、データ移行もスムーズでした。クラウドへの保存も
身近なものとなりましたが、今回改めてクラウドについて調べてみました。
いまや私たちは、写真や資料、顧客データ等も、「クラウドへ保存」することが増えてきました。
スマホのバックアップを取るときも、「クラウドに保存しました」という通知が出るだけで、
どこかに“保存した感覚”を持たないまま安心してしまう人が多いかもしれません。
しかし――クラウドとは決して“空の上”(空に浮かぶ無数の雲のよう)にあるわけではありません。
実際には、世界のどこかに存在する巨大な「データセンター」という施設の中に、無数のサーバーが並び、
私たちのデータを保管しているのです。
つまり、クラウドとは、どこかの“倉庫”に預けているのと同じことなのです。
デジタルの裏側にある「物理的インフラ」
たとえば、Google、Amazon、Microsoftといった巨大クラウド事業者は、世界各地にデータセンターを
構えているそうです。
北海道の寒冷地や北欧の地下、アメリカの砂漠地帯など、気候や電力事情に合わせて設計された
それらの施設は、一種の「超精密な倉庫」です。
中には数十万台規模のサーバーが整然と並び、温度や湿度はミリ単位で管理されているそうです。
電力の確保と冷却のために、再生可能エネルギーや液体冷却技術が導入され、
もはや「倉庫」と「発電所」と「通信基地」が一体化したような存在です。
私たちがクラウド上で「ファイルを保存」した瞬間、そのデータは複数のサーバーに複製され、
複数の拠点にバックアップされます。
つまり、見えないところで“物流”が発生しているのです。
デジタル空間であっても、データは物理的に「どこかへ運ばれ」「どこかに格納されている」。
データセンターは現代の“情報倉庫”
物流業界の視点で見ると、データセンターはまさに「情報版の倉庫」です。
物を保管する代わりに、データを保管する。
温度管理やセキュリティ、入出庫(データの保存や削除)など、求められる機能は驚くほど似ています。
また、クラウドサービスを支える“ロケーション戦略”も重要です。
地震や停電リスクを分散するため、複数地域に分けてデータを置く「冗長化設計」は、
まるで物流倉庫の多拠点展開と同じ発想ではないでしょうか。
データの保全、スピード、そしてコスト最適化――どれも現代の倉庫運営に通じる考え方だと感じます。
「無限のクラウド」には限界がある
「データは無限に保存できる」という幻想は、実は誤解です。
サーバーもHDDも有限の物理資源であり、消費電力や冷却設備、土地が必要です。
AIやIoTの普及により、世界中で生まれるデータ量は爆発的に増加しており、
IDC(International Data Corporation : ITおよび通信分野に関する調査/分析を行う企業)の調査によると2030年には世界のデータ総量が600ゼタバイトを超えるとも予測されています。
(1ゼタバイト=10億テラバイト=1兆ギガバイト)
この膨大なデータを収めるために、データセンターの建設需要は今後も増え続けるでしょう。
つまり、「データはクラウドにある」という時代になっても、「保管場所」という概念そのものが
消えることはないのです。
むしろ、情報時代の進展とともに、保管場所の重要性はますます高まっていくでしょう。
倉庫業にも広がる「デジタル保管」の発想
この潮流は、物流・倉庫業界にとっても大きなヒントがあるのではないでしょうか。
従来の“物理的な保管”に加え、“デジタル資産の保管”という新たな需要が生まれているからです。
実際、データセンター施設を不動産投資として扱う「データセンターREIT」も登場しており、
倉庫業と不動産ビジネスの境界が曖昧になりつつあります。
冷却性能やセキュリティ、耐震性能を備えた倉庫建築のノウハウは、データセンター建設にも
活かせる領域です。
「モノを守る」から「情報を守る」へ――。
倉庫業は、デジタル時代においてもなお、社会の基盤を支える重要な“守りの産業”であり続けます。
クラウドの先にも、倉庫はある
クラウドという言葉がいくら未来的に聞こえても、その背後には必ずそれらを保管する場所が存在します。
クラウドは、現代の“デジタル倉庫”であり、情報社会のライフラインです。
ここ最近、大手クラウドサービスの大規模障害でサービスの利用ができなくなったり、
大手小売業のシステムがランサムウェアの被害によりECサイトで注文停止するなど
人工的な被害ではあるものの、いまや情報のクラウド化が当たり前になってきている中で
企業にとってはかなり深刻な状況に追い込まれている事象も発生しております。
このような状況を未然に防ぐためにも、セキュリティの強化、冗長化、社内教育の徹底は
今後も検討していくことは必要でしょう。
昨今テレワーク推進やBCP対策、保守費用削減等で情報のクラウド化のニーズは
どんどん高まってきております。
そして、私たちが実際にモノを預かる倉庫も、デジタルとリアルをつなぐ要として、
これからの時代にさらに進化していくことでしょう。
矢野
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