<第8回> 「昔話から学べる仕事の在り方②」

本日で「東日本大震災」発生から5年が経過しました。
直接被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。
先日のニュースでは警戒解除された地域でもまだ瓦礫撤去や不安が解消されず
住民が戻ってこないというようなこともやっておりました。
元の生活に戻るまではまだまだ先になりそうですが、1日でも早く復興へ向かうことを望んでおります。

都内在住の私は当時大学4年生で卒業式が控えておりましたが、震災直後だったため日本武道館での卒業式は
中止となり、後日卒業証書引取りという形となってしましました。
予定していた卒業旅行も中止となってしまい印象深く記憶に残っております。

弊社のような倉庫会社はお客様のさまざまなお荷物をお預かりしているため、
このような大規模自然災害が起きてしまうと荷崩れ等発生し
入出荷の業務に支障をきたす場合がございます。
震災当時はまだ入社していなかったので状況がよく分かりませんでしたが、
後から聞いた話では、荷崩れによって業務に支障をきたすということはなかったようですが、
そのあと続いた余震で崩れないように処置を行うのに大変苦労したとのことです。
こういった状況は未経験だと予測が立てづらく万全なBCP(事業継続計画)対策を整えることが重要視されております。
実際に起きてしまうとお客様のお荷物を毀損させてしまう、
避難経路が塞がれるなどの不測の事態になりかねないので貴重な経験であると同時に
BCP対策を強化するきっかけにしなければなりません。

それでは本題に移りたいと思います。
今回は三太郎シリーズ第二弾「金太郎」の昔話から学べる仕事の在り方についてお話しさせていただきます。

まずは簡単なあらすじからお話しします。
諸説ありますが、足柄山に住んでいる金太郎が母親の山姥(やまんば)と一緒に暮らしていました。
小さい頃からとりわけ力の強かった金太郎は山の動物たちと相撲を取ったりして友達になりました。
そんなある日、いつものように相撲を取っていると、熊が現れて勝負を挑んできました。
その勝負に勝った金太郎は熊の背中に跨れるほど仲良くなっていきました。
力自慢の金太郎でしたが、優しい心の持ち主でもありました。
ある日、橋が壊れていて渡れなく困っている動物たちを見かけた金太郎は持ち前の力を発揮して
近くの大木を引き抜き一本橋としてかけてしまったのです。
偶然それを見ていた武将から家来になってほしいと頼まれ、頼光(源頼光)四天王の一人として
鬼退治などにも貢献したというおはなしです。

この話は信じ難いですが、坂田金時という実在した人物をもとにした昔話です。
そうなると「動物たちと相撲を取る」、「鬼退治」がという表現が一見すると非現実的に思えますが、
実際には

「動物たちと相撲を取る」=「動物たちと力比べをする」
「鬼退治」       =「大江山に棲みついている酒呑童子という悪さを働かせる   
              賊(鬼)の頭領を成敗した」
であったとされています。(諸説ありますが…)

力比べをしている様を相撲で表現したのだと思いますが、金太郎の力自慢の話は他にもあり、
自分の体ほどの大きさもある鯉を泳いでいる最中、全身でしがみついて捕まえたという伝説もあります。
その様子を絵に描いた作品がいくつか残っており、滝登りをする鯉に金太郎がしがみついているもので
滝登りをする鯉は立身出世と金太郎の健康で逞しい姿を上手く組み合わせた作品になっております。
今日の五月人形に金太郎が使われたり、こどもの日に鯉のぼりが飾られたりするのはこの影響が
多少なりともあるかもしれません。

少し話が逸れてしまいましたので元に戻りますが、金太郎の話を仕事に置き換えてみますと
以下のようになります。
生まれながらにして力強さ(=力量)優しさ(=許容力)を兼ね備えた金太郎でしたが、
山奥でひっそりと母と暮らしていたため、その才能を活かしきれずにいました。
そこでとある武将に才を見出され優秀な家来の一人になるまで出世し、活躍したという話でしたが、
金太郎を一般従業員としたならば、武将は管理職となるでしょう。管理と現場の体制・環境が整備されていないことで毎日同じような作業を黙々とこなして働いているような人が全く評価されない状況が生まれ、
いつまで経っても人材教育は捗らず、組織の将来を担うべき人材が離職する悪循環が生まれてしまいます。


また、力量と許容力のある人を管理者のポジションに置くと作業の進捗状況に対して柔軟に対応することが
できます。その結果、人員配置や指示の的確さが増し、周囲の人がのびのびと作業ができるので効率が上がり、管理者への信頼も厚くなります。

まさに、金太郎が木を橋として架けて困っていた動物を助けた状況と似ています。
また、金太郎に歯向かってきた熊にも正面からぶつかって接することによって仲良くなってしまう状況も
作ってしまうのです。
状況に応じて、その都度的確な指示を行なうことで一般従業員との信頼関係が生まれ人材教育が捗り
有望な人材が育っていくのです。

そう言われてみれば、職場のみんなに「威圧的に接してしまっているなぁ。」もしくは
「距離を置いて接してしまっているなぁ。」と感じた管理者の方は接し方を改めてみてはいかがでしょうか。

どれも似たり寄ったりで違いが無いことの例えで「金太郎飴」という言葉がよく使われているようですが、
管理者の立場にいる人が個人の潜在能力に気付けていないだけなのかもしれません。
その能力を生かすも殺すも管理者の見抜く力に懸っていると言っても過言ではありません。

前回も書かせていただきましたが、雇用している個人の能力を理解して適材適所に人員を配置することで
業務を効率化させ、強固な組織が出来上がり、企業の成長発展へ繋がっていくことでしょう。
                                               青木

あとがき
弊社の近くにもあります神田明神では毎年5月に「神田祭」が開催されております。
江戸三大祭りの一つにもなっており、また日本三大祭りの一つにも挙げられている
盛大なイベントでありますが、その中に「附け祭」というものがあります。
 
これは「山車(だし)」、「曳き山」などを引きながらたくさんの人が行列を作り
街中を練り歩く「神田祭」で最も人気のあるお祭りです。
最近ではダンサーや子供たちの参加団体も増えて地域全体でさらなる盛り上がりをみせております。

この山車で有名なものに「大江山凱陣」があります。
従者として源頼光に仕えていた坂田金時(金太郎)達が鬼を退治して凱旋した様子を
仮装と鬼の頭を模った山車で表現しています。
前回お話しした「桃太郎」の山車も登場した年があったようです。

機会がありましたら私も一度見に行ってみたいと思います。
神田明神資料館というところでもいくつか山車模型が展示してあるみたいですので
皆さんも一度見に行ってはいかがでしょうか。

次回は三太郎シリーズ最後になりますが「浦島太郎」について書かせていただきますので
しばらくお待ちください!